2019.3.5

 日経新聞に「20世紀になかった独占が広がる」の記事があった。資本主義は変貌し企業の考え方も変わりつつある。特に日産のゴーン氏の会社の財産を私物化している事態を考え合わせて思うことがあり書く。

 まず日経新聞お記事の両者の対比表を写す。

「従来型独占」 ・自社に有利に価額を引き上げる ・設備占有や買収で規模を拡大 ・シェア、売上高を競う ・競合を排除する

 「新たな独占」 ・独占しても価額を引き上げない ・ユーザーが集まるほど便利に利用も増加 ・データー専門家 知財が集中 ・自ら市場を作り運営者として支配する。

 20世紀に完成した資本主義のモデルは競争に打ち勝った大企業、例えば日本では新日鉄トヨタ欧米ではフォードやウオルマート欧州ではフォルクスワーゲンロールスロイスなどがあるが、今大半は買収や統合で生き延びてきた。その代表例は日本の金融界である。「東京三菱UFJ」など訳がわからない。その統合の過程で権力闘争や主導権争いに血道をあげ本来の企業の目的を見失った結果、その経営基盤を失いつつある。

 一方アマゾンやグーグル、ファスブック、アップルなどは20世紀末に創業され今や中国以外の全世界で、我々の日常生活の隅々まで入り込み、我々の気がつかないところで収益を上げている。そしてその創業者たちは想像もつかない収入を得て財産を作っている。

 またマイクロソフトビル・ゲイツなどは慈善事業に多額の資金を提供している。それにひきかえ会社のお金でヴェルサイユ宮殿で結婚式を挙げたり、世界各地に別荘を作ったゴーン氏はまさしくゲスの極みである。しかしこう言えば身に覚えもある人も多いかもしれない。

 やはり新しいことを目指す人には金銭を度外視た志がある。お金は後からついてくる。今の大企業のトップはサラリーマンとして頂点を極めた人である。彼我を比べるのは間違いもしれないがこの間の落差は知っておくべきであろう。

 しかしGAFAのようなネットワークを利用した企業は基本的に過去に積み上げられた社会構造を利用しながらその隙間で巨額の利益を上げているにも拘わらず、それを社会に還元していない。税金を払わずにただ乗りしている。

 20世紀型の企業と21世紀型の企業の考察した。

 

 

 

 

統計不信

 

 政府の56ある基幹統計統計のうち23統計で不備があったと今国会で野党が政府を追及している。2009年に発覚したギリシャ財政赤字に関する経済統計の虚偽報告が欧州債務危機のきっかけとなったこともあり経済統計の信用を失うことの恐ろしさを新聞各紙が指摘している。

 政府発表の統計の中で世界で最も信頼されていないのは、中国の経済成長率である。この統計は共産党一党独裁の政権下で捏造されたものであることを世界中が知り、その発表された数字を絶えず割り引いて見ている。この経済指標が中国の最大の陥穽になる可能性は高い。この欺瞞が表面化した時、世界は大恐慌に陥ると恐れられている。

 その統計操作の盛んな中国で、アリババのCEOダニエル・チャン氏が「我々のビジネスはデータ技術で成り立っている」と発言している。皮肉な話である。今回のダボス会議世界経済フォーラム)で議長が現在一番必要な課題は「データベーステクノロジー」だと発言した。基礎データの正確さと蓄積が人工知能(AI)時代の未来の設計に絶対必要である。

 日本政府と経済連がAIなどを活用したスマートな社会構想「ソサエティー5.0」を2016年に発表した。日本が提唱する未来社会のコンセプトで「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、新たな未来社会」(内は政府発表)と定義されている。

 お題目は立派だが、肝心の基礎になるデータに信頼性がないのでは砂上の楼閣になるのではないか。国民誰もが「ソサエティー5.0」など役人の作文としか思わないのではないか。

過去に「人口統計」の数字を誤って、今の年金問題少子化問題を見通せなかった役人を思い出す。

 今後はデータの集計は全て人工知能に任せて、官僚の数を減らすべきだ。100兆円を超える予算の何割かが削減でき、それを近未来に始まる大量失業時代の「ベーシック・インカム」の財源にしてはいかがだろうか。

 野党もこの問題については、政府追及の材料に使うのではなく、統計に基づく「未来設計」を誤らないよう腰を据えて議論をすべきである。

一神教と霊性

 

 歴史学者ハラリ氏は著書「サピエンス全史」「ホモ・デウス」にホモ・サピエンスネアンデルタール人を駆逐できた最大の要因は「虚構(フィクション)」を信じたことにあると書かれている。

 共通の虚構(フィクション)として、欧米では一神教の「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」がある。中国では「天」宇宙である。各王朝を権威づけたのは「天」である。天が選んだ子「天子」がこの世を支配する。これも虚構(フィクッション)である。

 日本では縄文以前から「自然の霊性」を信じてきた。森、川、山、巖に霊性を感じ、太陽を拝んで民族共通の「虚構」を持った。

 20世紀最大の「虚構」は「資本主義」である。19世紀半ばの産業革命から始まった資本主義が20世紀末に「共産主義」に打ち勝って以降「資本主義」が地球上のルールを決めている。しかし最近のAI(人工知能)の驚異的な加速度的な進歩でその行く末は、私の想像を超えたものになるだろう。

 21世紀の「虚構」は資本主義にAIとバイオテクノロジーの技術が加わった「新資本主義」とでも定義するのであろうか。

 前掲のハラリ氏は昨年NHKおはよう日本」で「人類は神の力だと信じられてきた能力を手にしようとしています。これまで私たちは技術によって周りの環境を変えてきましたが、自分自身を変えることはありませんでした。バイオテクノロジーとAIは、私たち自身を変える可能性があるのです。身体や脳、考えを変化させ、新たな人類が生まれようとしているのです」と語っている。

 日経新聞に「人間拡張」の特集があった。今、人間は「バイオテクノロジーによって経済的ではなく生物学的な不平等が生まれる」と書かれているが、IPS技術などの恩恵を受けるのはやはり経済的に優れた大金持ちであろう。一部の人間が神のようにスーパー記憶力、知性、長寿を持つようになる。

 ハラリ氏は21世紀後半には神に近づいた人類「ホモ・デウス」が「無用者階級」(ハラリ氏の言葉)を支配するという。世界の大金持ち6人の総資産が下位の3分の1と同じという超格差時代である。その時、我々日本人はおそらく全員「無用者階級」に分類されるのだろう。

 しかし我々日本人は「神」を信じるより、「自然界の霊性」を信じている。ハラリ氏の「ホモ・デウス」の発想はやはり「一神教」をベースにした考え方と思うが如何であろうか。

 

 

 

米中貿易戦争

 最近話題の中国のファーウエイのスマホにライカのカメラが搭載されたと聞き、カメラ好きの私としては興味を持たざるを得ない。

 ところがカナダでファーウエイの創業者の娘である副社長が逮捕され、またポーランドでファーウエイの社員がスパイ容疑で逮捕されたなど、ファーウエイには何かと胡散臭いイメージがある。

 今、中国ではキャッシュレス化が進み、国民の半数以上がアリペイ(電子マネー)などを日常生活で使っているらしい。街の屋台でも使えるという。なるほど便利だが、その支払いや使用方法、場所などが巨大コンピューターで集計され、国民が全て監視されていると聞く。

 最近、ファーウエイが「ブロックチェーン」の技術を使った「プラットホーム」サービスを始めた。このサービスはIBMやグーグル、アップルの独壇場であった。それに対抗して出てきた「ファーウエイ」はアメリカにとっては一大脅威である。米中貿易戦争の最大の焦点であり、トランプ大統領は「中国がアメリカの最新技術をスパイしている」と非難している。

 中国が最新テクノロジーを開発する速度は脅威的である。身近な例では「タクシーの配車」サービスがある。中国の「滴滴」(日本ではDiDi)が大阪のタクシー会社10社と組んで運営を始めた。今までは「阪急タクシー」「MKタクシー」「ジャパンタクシー」などを呼んだが、「滴滴」の使いかたは話に聞くアメリカの「ウーバー」のようである。すぐに日本全国を制覇するような気がする。

 また、ファーウエイは「ブロックチェーン」の技術を使った送金システムも構築し始めた。これは中国の「一帯一路」政策と相まって、世界中にそのネットワークを広めるであろう。「ドル」の牙城を崩しアメリカの金融システムの一大脅威になる。

 最近5Gという言葉も聞くようになった。5Gとは第5世代の通信システムで「高速大容量 低コスト 省エネ 多接続」である。現在のスマートフォンは4Gである。5Gが一般化すれば、テレビ電話や遠隔操作の手術などの速度が速くなり、地域格差が解消されると言われている。この5Gの開発の中核にも「ファーウエイ」がいる。

 便利になるのは良いことであるが、その奥に隠された米中間の熾烈な覇権争いが垣間見られる。

 

電子マネー元年

電子マネー元年

 正月休みでアメリカ留学中の孫がお土産を持ってきた。シアトルの「アマゾン・ゴー」(無人店舗)でしか販売していない黒地に黄色と白のドッド柄で中央にお馴染みのアマゾンのロゴが入った魔法瓶である。

 孫娘がソフトバンクとヤフーが立ち上げた「PayPay」(電子決済)の100億円還元キャンペーンでパソコンを二割安く買った。

 私は一昨年からスマホJR西日本の「イコカ」を入れ交通機関やコンビニ、スーパー、百貨店の支払いに利用し重宝している。家人にも電子マネーを勧めていたが彼女は頑として拒否していた。

 ところが今年10月からの消費税値上げでカード払いをすると5パーセントポイントが還元されると聞き「それでは」とスマホを買い替え、クレジットカードを登録した。電子マネーは消費税導入を契機に一気に市民権を得るような気がする。

 電子マネーをお使いの読者も多いと思うが、私の使い方を少し説明する。「お財布携帯」対応のスマホにカードを読み込ませる。私の場合は「イコカ」と「VISA」である。「イコカ」はプリペイドカード(先払い)である。常時五千円ぐらい入金しており、残高がなくなってもすぐにインターネットを通じてスマホに入金する。「VISA」はクレジットカードである。どちらも店頭の端末にかざすだけで決済できる。

 特に重宝しているのが「イコカ」である。全国の交通機関やタクシー、コンビニ、百貨店、家電量販店など使える店が月を追って増えてきた。当初は安売りの家電量販店やチェーンの飲食店など使えなかったが、最近はほとんどの店で使える。

 外出の時は「スマホ」と免許証を持てば、現金やクレジットカードを持たず済む。現金を持つのは会費などを支払う予定のある時だけである。クレジットカードの入った財布を落とし、パニックになってカード会社に電話することもない。自分のパソコンなどで即スマホの機能を止めることができるからである。

 冒頭に紹介したアマゾンの無人店舗も「電子マネー」を前提として機能する。日本も消費税値上げを契機に一気に「電子マネー」時代に突入する。そして今年は日本でもコンビニを中心に無人店舗ができる年になるだろう。

 

ホモ・サピエンス

 人類の先祖が生まれたのは200万年前である。現代人の先祖サピエンスがネアンデルタール人をしのぎ、その支配を確立したのは5万年前と言われる。北アフリカに住んでいたサピエンスが欧州に勢力を持っていたネアンデルタール人に競り勝った。

 ネアンデルタール人はサピエンス人よりも体格も優れ、脳の容量も多かったのに、なぜ滅びたのであろうか。その理由を昨年ベストセーラーになったユヴァル・ルノア・ハラリ著「サピエンス全史」を読み納得することがあったので、紹介したい。

 そのキーワードは「噂話」である。ライオンも猿もミツバチも餌のありかや危険を知らせる能力は持っている。もちろんネアンデルタール人も然りである。ハラリ氏はサピエンスが「噂話」をする能力を持ったことで地球上の生物体系の頂点に立てたと分析されている。

 人間がお互いに理解し合えるのは15人が限度である。それ以上の人が社会を作り団結をするには、「ライオンがいる危険!あそこに餌がある!」だけの会話では無理である。そこに例えば「彼と彼女はできている」「誰がズルをしている」などの噂話ができる能力を持って、初めて新しい思考と意思疎通の方法を獲得できた。これを「認知革命」というと書かれている。

 これによってサピエンスは例えば宗教や資本主義などの「虚構」(フィクッション)を構築することができた。この「虚構」が「15人の限界」を超えて、人々を一つにまとめることができ今の文明を作っていると分析されている。

 われわれ日本人の最大の「虚構」は天皇制である。日本人の心の原点には天皇制がある。その証拠に太平洋戦争敗戦の時、昭和天皇の「詔」で日本国民は武器を置いた。なんの抵抗もなく降伏した日本人にアメリカ人がびっくりした。当初、天皇戦犯説があったが、マッカーサーはその日本人の精神構造の奥底に「天皇制」があることを知り、天皇と一緒に写真を撮り新聞に載せることで、日本人の心を掴み占領政策の安定化に使った。

 大化の改新天皇制が確立して以来、平安時代 鎌倉時代 室町時代 江戸時代そして明治維新以後一貫して「日本の国体」を守ってきた「天皇」は5月践祚される。日本人の原点である天皇制は不変である。弥栄 弥栄。

万引きとひったくり

 大阪が「住みやすい街」世界第3位になった記事は書いた。その延長線でいろんなランキングを調べた。そして「警察庁犯罪統計資料」に、大阪は殺人日本一位、ひったくり日本一位、スリ日本二位、そしてびっくりしたのか「万引き」が日本第四七位である。この落差は何だろうか。

 「万引き」も「ひったくり」はともに窃盗罪である。その両者が一位と四十七位の両極端に位置するには何か理由があるはずである。大阪人の精神状況や大阪人の行動パターンに答えを求めても、納得できる答えは見つからない。いろんな人に聞いて回った。ほとんどの人はわからないという。質問する方も質問される方も戸惑いしか残らない。

 ランキング表に答えが見つけられるかもしれないと、もう一度調べた。万引き第一位は香川、二位東京、三位兵庫、四位京都、五位岡山である。東京以外は全て関西圏にある。その関西圏のど真ん中の大阪が四十七位である。関西圏にあってなぜ大阪だけが最下位なのか。悩みが増えるばかりである。

しかし、色々と考えた結果やはり大阪人のものの考え方に答がありそうだ。特に官憲に対する不信感が根底にあるようだ。

 江戸時代、大坂は天領であり役人が非常に少なかったので、町方衆が町の治安の維持を担っていた。その自負があり役人に対する接し方が他の都市とは少し違うようだ。

 今一つは商売の街ならでの合理的なものの考え方がある。大阪も万引きは他の都市と同じく多いと思うが、万引きを見つけた店側が警察に通報しないので検挙率が少ないのではないだろうか。その結果、日本一万引きの少ない都市にランクされたのだろう。 おそらく、万引きを見つけも事務所に連れて行き、諭して帰らせるケースが多いのではないか。そこには商売人大阪の打算もあるかもしれない。警察に通報して事情聴取など時間を取られては商売に差し障りが出ると考えるのかもしれない。

 大阪人は官憲をあまり信用していない。殺人もひったくりも全国一である。しかし逆説的にみれば、「殺人日本一」「ひったくり日本一」は大阪府警の捜査能力の高さを示しているのかもしれない。

おかげで大阪は住みやすい町、世界第三位である。