2017.6.5 豊かな社会になったか

2017.6.5 豊かな社会になったか

 英「エコノミスト」社から「2050年の技術」が刊行された。NHKの朝の番組で紹介されていたので、取り寄せ読み出した。各分野最高の科学者が各々の分野で「メガテック時代」の30年先を予測している。あまりにも専門的で私の能力ではついていけない。

 一番難しかったのは物理学の章であった。救いはその難解な専門用語にあふれた本文の後に「まとめ」がある。我々素人には物理学や宇宙学がわからなくても、「老化や疾病の問題は、物質の理解・監視・制御によって克服できる」「現代のテクノロジーには、核戦争、生態系の崩壊、そして人工知能戦争という三つの故障モードのリスクがある」とまとめてくれてあるのでなんとはなくわかる。

 その紹介された事例の中から、私にもわかりやすいものを拾い出した。自動車の自動運転化と「ウーバー」(自動車の配車システム)がその相乗効果で、個人での車の使用が90%減少する。自動車産業は大変だ。3Dプリンターを使って住宅を建てる。住宅メーカーの行く末は。材木屋さんは生きる道があるのか。少しSF小説のようだが、人間の脳はコンピューターに接続され、スーパーコンピューターにつながる。図書館にもつながるが、個人情報は全て政府の監視下に入る。個人のプライバシーはなくなる。医療も劇的に変わる。

手術も昔みた「ミクロの決死隊」のように極小のロボットが直接患部に入り手術をする。3Dプリンターで作った臓器で、臓器の取り換えも可能になる。

 メガテックの時代は薔薇色であるが、考えてみればこの素晴らしい技術を利用できるのは誰だろうか。金持だけがその恩恵を享受できるのではないか。20年後には労働者の80%が失業すると言われる。金のない一般大衆には縁のないものになるだろう。

 振り返ってみればコンピューターが普及しだした1990年ごろの大学卒の初任給は20万円ぐらいであったと思う。それからコンピューターが進化し、その当時では考えられない社会になった。その進化のおかげでいろんなサービスを我々は享受しているが、現在の大卒の初任給は30年前と同じである。誰がこの豊かに見える社会の進歩からえた富を取ったのか。

 今世界の0.1%の超富裕層が下位90%と同じだけ富を所有しているといわれている。この傾向は今後ますます加速すると思われる。その富の超一極集中は社会不安を助長し、暴動や革命の起こる土壌が作られつつあるかもしれない。