豆柴犬89万円

豆柴犬89万円

 最近は小型犬ブームだという。心斎橋筋を丼池へ向かう途中に煌々と照明された小型犬専門のペットショップがある。週日の昼下がりにも拘らず結構客が多い。

 私はショーケースに入った犬や猫を見るのは好きでない。一匹一匹小さなゲージに入れられ、中にはぬいぐるみが転がっているだけである。水も置いてないケースもある。人が近づくとガラスケースに飛びついている子や、ふてくされて寝ている子。動物虐待の極みである。とにもかくにも1日も早く飼い主が決まることを願うが、その小型犬につけられた値札に驚いた。

 豆柴犬650,000円、ポメラニアン600,000円、ミックス(トイプードルxポメラニアン)500,000円とある。豆柴犬の場合ワクチン代、ペット保険等々の費用を入れると約90万円になる。ベーシックな軽自動車と同じ値段である。後期高齢者年金生活者の私にはその購買層が想像できない。

  私の世代では犬を飼う目的は番犬であった。雑種の日本犬が多かった。高度成長期にはシェパード、そしてラブラトール、シベリアンハスキー犬と大型犬が主流であったが、今は小型犬ブームである。

 小型犬ブームの背景を考えると、都会生活者の大半がマンション暮らしである。管理規定が厳しくて大型犬は飼えない。

今ひとつ考えられるのが共稼ぎで子供がいない家庭が増えた。少し古い統計だが2010年の国勢調査で12歳以下の子供の人口は1450万人、ペットの数は2150万匹であったという。この傾向は今も同じであると思う。

 この世相を反映してスーパーやホームセンターのベビー用品の棚が縮小し、ペット用品売り場の面積が年々ひろがってきた。しかし最近そのペット用品売り場にも異変が起こりつつある。小型犬は食べる量も大型犬に比べて少ない。その結果ドッグフードの棚が減って種類も少なくなり、犬や猫を売るコーナーが広がってきた。ドッグフードの業界は今その対策に追われているようだ。

 派遣社員が労働者の40%を占め、年収200万円以下の低所得者が増える時代に愛玩犬に50万円も100万円を使えるのはどの階層か。ここにも所得格差の影を見る。