カナブンとAI

カナブンとAI

 日経新聞でAI(人工知能)を使った「昆虫サイボーグ」の研究が進んでいるとの記事を読んだ。「カナブンにはAIによる生命が宿っている。背中に埋め込まれた電子回路が筋肉を刺激し、羽を動かす。衝突回避など虫が持つ生体機能と組み合わせた『生けるドローン』として無線で飛行を制御する。災害時の瓦礫の間に入って被害者を発見するという応用も期待できる」とシンガポール南洋理工大の佐藤裕崇教授が発表している。

 私は子供の頃から昆虫やトンボ、蝶々を観察するのは苦手である。苦手になったきっかけは、虫眼鏡で蝶々の目を見たときである。気味悪かった、グロテスクであった。その幼児体験が今に続いていた。ところが最近クローズアップのマクロ撮影にはまり込んでから、そのトラウマから徐々に抜け出し、虫の顔をよく観察をするようになった。目にピントの合ってない写真は使い物にならない。

 話は少し変わるが、夏になると我が家の怠け者の愛犬「クー子」が羽化寸前のセミ捕りに夢中になる。家の中で寝ていてもセミが地中から出た気配を感じると飛び出し、手に抱え込んでムシャムシャ食べている。多い時には一晩に5、6匹食べる。

 家人は「7年も地中で過ごしやっと出てきたところを捕るのはあまりにも可哀想」と犬の口からセミを取り上げて、近くの樹にとまらせた羽化させた。ところが一時間して経過を見に行く羽化がとまっている。そして近くにゴキブリがいる。ゴキブリ追っ払って一安心。しかししばらくして見に行くと今度は蟻が群がっていた。自然界の掟の厳しさを目の当たりにした。

 普段はあまり気にしない昆虫たちの能力は計り知れないものがあるようだ。前に聞いた話であるが、人工衛星太陽電池のパネルは衛星打ち上げ時小さく折りたたんでいるが宇宙で一気に羽を広げるメカニズムは、てんとう虫の羽の格納の研究からヒントをえたと聞く。

 カナブンとAIの記事を読んで、身近な昆虫の世界にも時代の波が押し寄せていると思った。しかしエジブト人は古代から「フンコロガシ」が宇宙を司っていると崇めていた。古代の人は昆虫の限りない能力を知っていたのか。

 昆虫から我が家の怠け者の犬、そして人工衛星と想像が広がり、ひととき暑さを忘れた。