否定と肯定

否定と肯定(2018.1.20)

 デボラ・リップシュタットの「否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い」を原作とする映画「否定と肯定」を観た。地味な映画だが観ているうちに引き込まれ、原作の翻訳本を取り寄せて読んだ。

 ホロコーストナチスによる大量虐殺)はなかったと主張する歴史著述家アーヴィングが、歴史学者リップシュタットを名誉毀損で訴えた裁判のノンフィクッション小説である。被告側のリップシュタット側の弁護団は膨大な資料を検証し原告アーヴィングの史実を歪曲した嘘を一つずつ暴いていき、最終判決で勝利をかち取るまでの記録である。

 最後に勝訴したリップシュタット教授の「歴史家には事実に対して独自の解釈をする権利があるが、その事実を故意に歪めて述べる権利はない」と書いている。

 昨年来韓国の慰安婦問題が話題になり、文在寅韓国大統領が2015年12月の日韓合意に対して「手続き、内容にも重大な欠陥があることが確認された」と表明した。

 慰安婦問題の発端はなんだろうかと調べた。吉田清治、福岡県出身とされる文筆家が1982年に、「大東亜戦争の最中、軍令で朝鮮人女性を強制連行し日本軍の慰安婦にした」と自著に記述。その後講演活動をした。これに対して朝日新聞は1992年その証言の信憑性が疑われるまで16回記事にし、天声人語でも15回この問題を書いている。嘘が発覚してから20年経った2014年8月5日朝日新聞が吉田証言はその大半が虚偽・創作であったと認め謝罪した。

 この吉田清治朝日新聞が取り上げ、そのため宮沢総理をはじめ歴代の政府関係者がいかに韓国に対して謝罪を繰り返したか。また、両国間の取引に使われたか。そしていかに日本の国益を損なったか計り知れない。最近には米国サンフランシスコに慰安婦像が設置され、それが全米にひろがってきている。この問題を考えるとき朝日新聞の罪の深さを思う。

 「ホロコーストがなかった」という歴史著述家アーヴィングの資料の改竄や思い込みで撒き散らした嘘は、5年に及ぶ裁判の過程で明らかになり、その後は「ネオナチス」が利用するだけになったが、南京事件慰安婦問題は国家間のプロパガンダに使われ、当事者国家の合同の調査も検証もできない状況で、一方的に日本が悪人になるのは悔しい。

 そのような中で慰安婦像の設置を許可したサンフランシスコ市との姉妹都市を解消する吉村大阪市長の見識に深い共感を覚える。