スイス・アーミーナイフ

  グーグルのプロダクトマネージャーが、グーグルの検索エンジンを「スイス・アーミーナイフ」にたとえてプレゼンテーションしたことがある。「キレイかつシンプルでどこにでも持っていける。特定の用途向けの道具が必要になったら、すぐにそれを取り出して使うことができる」。素晴らしく説得力があり、このような比喩を使うことで自社製品を一言で説明する能力には驚いた。

 その「スイス・アーミーナイフ」には「旅客機の中で盲腸になった患者を、刃渡り3センチのナイフとはさみで手術した」という伝説がある。赤の全長6センチ、刃渡り3センチ、そしてハサミ、ヤスリ、さやの中にはピンセットと爪楊枝が組み込まれている。何時間眺めていても飽きない。心安まるものだ。

 文具小物にも趣味と実用を兼ね備えているものがある。なんとはなく文具売り場を見て回る人も多いと思う。単価が安いのでつい買ってしまう。例えばメモ帳やボールペン、シャープペンシルなどいつの間にか、ペン立ていっぱいになっている。そして不思議なもので同じものを買っている場合が多い。

 文章を書くのも記録保存するのも、今はほとんどパソコンに頼っているが、最近素晴らしいものを見つけた。コクヨの「スケッチブック」とプラチナの「プレスマン0.9」のシャーペンである。

「スケッチブック」は昭和24年に測量野帳として作られたもので、縦16.5センチ横9.5センチ、ページ数は40である。濃い緑色のハードカバーの表紙が付いているので、手のひらの中でメモを取るのに適している。また細い方眼罫が引いてあるので、いろんな使い方があるようだ。私は雑記帳として使っているが、絵の好きな人はスケッチブック、旅行の好きな人はスタンプ帳。70年間のロングセラー、値段は140円。

 今ひとつの「プレスマン0.9」 は2B の0.9ミリの芯が入っている。書いていくと自然に芯が繰り出してくる。出ている芯は鞘にしっかり支えられてぐらつくことがない。さすが新聞記者の取材を考えて作られたものである。これも200円前後。40年間のロングセラー。

 スイス・アーミーナイフ、コクヨのスケッチブック、プラチナのプレスマン0.9は私の道具の三種の神器。 良いものは良い。