スーパーマーケットの原点

 

 産経新聞で「ミニスーパー」の特集を読み、大阪都心の大型スーパーの苦戦を改めて知った。街の商店街をシャッター通りにした「大型スーパー」も今やアマゾンや楽天の通販に消費者を奪われ苦戦している。この傾向はアメリカのウォルマートやフランスのカルフールなども同じである。

 日本の最初のスーパーマーケットは、1958年神戸で産声をあげた中内功氏の「ダイエー」である。1980年代には一世を風靡した。ダイエーのモットーは「価額破壊」であった。「いくらで売ろうともダイエーの勝手、メーカーには文句は言わせない」と「ダイエー花王戦争」「ダイエー・松下戦争」でメーカーに挑戦しどちらも勝っている。1972年三越を抜いて小売業のトップになり、その後、南海ホークスのオーナーとなり、リクルートを傘下に収めた。またローソンも買収している。

 しかし、大型スーパーは徐々に衣料品は「ユニクロ」、家電は「ヨドバシ」「ビッグ」、家具は「ニトリ」等々の専門に特化した低価格メーカーにその地位を奪われた。そして「価額破壊」で消費者に圧倒的に支持された「ダイエー」も2015年「イオン」に吸収された。

 その「イオン」の岡田卓也社長が日経新聞の取材で、大型スーパーの苦悩を語っている。巨大化した組織がAI時代についていけない。その危機を乗り切ろうと社内でいくらハッパをかけても、従来通り「人海戦術」で危機を乗り切ろうとすると嘆き、新しいビジネスモデルの構築の拠点を中国に置くと宣言されている。

 岡田社長の苦悩を端的に表しているのが「ミニスーパー」であろう。今回産経新聞に載った「イオンエクスプレス大阪常葉町店」「KOHYO肥後橋店」「阪急オアシス新町店」「ミニエル西本町店」(ライフ)を見学して感じたのは、各々の親会社の小型版でしかない。アマゾンの無人店舗「Amazon Go」のような未来志向のモデルはない。

 コンビニのフランチャイジーの個人経営者が必死になって改革を求め新しいモデルを模索しているのに対して、大手スーパーの社員の発想力の硬直化を感じた。

 エリート社員の発想の中には、ミニスーパーは初期投資の費用が安い。営業時間が朝7時から午後9時で人材の確保がしやすい。販売単価がスーパー価額でコンビニの正価に対抗できる等々の狙いがあると思うが、この発想こそ岡田社長の求めるものとは違うと思う。そこに岡田社長の苛立ちと焦りを感じる。

 小売業の「省力化」を目指してアメリカで誕生したのがスーパーマーケットである。その原点の「省力化」を念頭に置いて、都心の四店舗に足を運び、岡田社長の悩みを直に感じてください。