ピンクのマスク

 コロナ対策で素晴らしい成果をあげ、世界から賞賛されている台湾のオードリー・タン氏の「デジタルとAIの未来を語る」の本を読んだ。タン氏は台湾のデジタル省の主要メンバーである。

 その著書の中で紹介された「ピンクのマスク」の話を紹介したい。「自分の息子がピンクのマスクをしていたら、学校で笑われて恥ずかしい思いをした」という母親の悩みが新型コロナウイルス対策のホットラインに投稿された。それに対して中央感染症センターの指揮官が翌日の記者会見で全員ピンクのマスクをして「ピンクは良い色ですよ」と報道陣に語りかけ、陳時中指揮官は「私は小さな頃、ピンクパンサーのアニメが大好きだったよ」と付け加えた。

 その結果、多くの台湾の企業や個人がロゴやプロフィールの背景をピンクに塗り替えて政府を支持した。これにより誰もがピンクのマスクを受け入れるようになったという素晴らしい話である。

 オードリー・タン氏は「台湾には寛容とインクルージョン(包括)精神」があります」と言っておられる。同じ隣国の韓国と比べるときその違いは歴然とする。韓国の文化の根底には「怨」しかないとよくいわれる。韓国の歴代大統領が1〜2の人を除いて全て逮捕、または自殺する国は異常としか言いようがない。台湾と韓国の違いを検証することで日本の文化を再考察するのも必要だと思う。

 日本には「ピンクのマスク」をして記者会見に臨むような政治家はいるのか。どこかの知事のように上から目線で「三密」や「5つの小」をボードにかかげて話す姿には、パフォーマンスばかり目立ち、国民への「愛」は感じられない。コロナに取り組み奮闘している吉村大阪府知事には、同じ飲食店の時短要請にも「コロナと経済」とのバランスを考えた社会の弱者に対する思いやりが、顔に立居振る舞いに滲み出ている。それは吉村知事の公僕としての立ち位置がしっかりしているからだと思う。

 「霞ヶ関文化」と「商人の街大阪」の違いかもしれない。昭和3年大阪城天守閣再建」の募金で目標額150万円が半年足らずで目標を達成した話。今回のコロナで「医療従事者への感謝の募金」が3日で目標に達成した話。「医療現場でビニールの防護服が不足 ビニールレインコート」が3日で10万枚集まった話。これらは「台湾のピンクのマスク」に相通じる心がある

 何か大阪人には台湾人と相通ずる心根がある。霞ヶ関の政治家や役人の心はどこの国に似ているのかな。

付記:2007年にカナダのハイスクールで「ピンクのシャツを着た子に対するイジメ」を受けて巻き起こった「いじめ反対運動」が今回の台湾の当事者の対応の根底にあったのかどうかはわからない。